戦場の中、一人の男性が立っていた。厚い唇に逆立髪。
青いバンダナを頭に巻いたまるでどこかの不良のような人物は、
是空とおるという人物である。

ウォードレスダンサーだったり、式神使いだったりする彼は今、
ACEとしてFEGという国に滞在していた。
そんな彼は今回ロジャーを助けるために、世界移動をして、
ロジャーがいると思われる場所までやってきていた。
そして今、彼の目の前には大量の敵がいるのである。
今回、ウォードレスは停止する怖れがあるので、着用していない。
生身である。敵を目にした是空とおるは、しばらく考えこんだ。
そして出てきた結論は、攻撃である。

作戦を頭に思い描きながら、ここまで担いできた大き目の銃を
肩から外して弾数を確認し、ひとつうなずくとそれを構えて

敵達の群れに銃口を向けた。

攻撃するとしても、数が多すぎると思う是空。弾の数にも
限りはあるし、何より銃を撃ったとして、それで敵が倒れるとは
限らない。ひょっとかしてものすごく表面とか装甲とかが
硬かったりするかもしれない。それに一度に撃てる弾の数は
知れたもので、たとえ撃ち続けても何匹か、いや何十匹かは
こちらの攻撃をすり抜けて逆に攻撃を是空が
受けてしまう可能性 だってあるのだ。


困ったなぁと苦笑する是空。正直なところ、
ちょっと負けるかもなぁ。という気持ちがあった。


そのときだった。
何処からか大勢の声が、聞こえてきたのだ。
その声たちは、是空を励まし、奮い立たせ、敵と向かい合い、
戦い、勝つ気持ちを起こす後押しをしてくれた。誰かが励まして
くれている。その誰かのために戦おう、と是空は思った。
敵に銃口を向け、引き金を引く。

彼の、是空とおるの攻撃が始まった。


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