黒の敵影発見、と偵察部隊から報告が入った。

 それを聞いた各部隊は、部隊長について
 移動を開始した。ただ、急いで山林を、水辺を、市街地を
 駆け抜けて、敵のいる場所へ進んでいく。

 そして、ついに彼らは偵察部隊から示された場所へ到着した。
 敵の影がはっきりと誰の目にも見ることができた。
 黒一色の敵が武器を構えて待ち受ける、黒い一群。
 その姿と状況を確認した部隊長が、自分の部隊のほうに向き直り、
 腹の底から自分を奮い立たせるように声を出した。

 「これより敵部隊と交戦する。全員準備はいいか!」
 部隊長の勇ましい声に「にゃー!」や「うおおおお!」など
 気合の入った雄たけびを上げる。地を踏み鳴らし、拳を挙げて、
 声を枯らして叫ぶ。全ては士気を鼓舞し、上昇させる戦闘音楽。
 全員の士気が高まってきたのを確認した部隊長は、剣を抜き、
 高々と空に掲げる。そして、彼は彼の役割を果たす。

 「全員突撃!」

 その声とともに勇ましき戦士達が自分の武器を手に持って
 敵に向かって進んでいく。その間も喉から叫び声を挙げる。
 敵をまっすぐに、その目に刻むように、にらみつけるように。
 決して目をそらすことなく敵を見る。いや、にらむと言ったほうが
 いいのかも知れない。
 敵が近づいてくる戦士を確認し、彼らも迎え撃つために移動する。
 黒の海が、うねる。そして黒が叫ぶ。
 両者が近づき、そして激突した。


 「うわああああああ!!」叫びながら、武器を構えて、敵に攻撃する。
 金属音が、叫びが、咆哮があちこちから聞こえる。
 黒と、血と、鉄の色。
 それでも、誰も逃げない。敵に武器を振り下ろし、返り血を浴び、
 その姿が倒れては、敵を踏み越え、新たなる敵と対峙する。
 その繰り返し。敵に攻撃を受けるが、その攻撃を避けてみせる。
 ただただ何も考えず、敵を倒すことにのみ集中する。

 さすが黒オーマ。強い。
 けれど、無敵なわけじゃない。不死ではない。

 勇ましきその叫びは敵に倒れるか敵を倒し尽くすそのときまで、
 途切れることは決してない。


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